7つの質問

小野俊さんに聞いた12の質問

小野俊さんに聞いた12の質問

小野俊展

【2020年9月小野俊展】

Q1.出身は長野と伺っていますが、お生まれも長野ですか?

はい、生まれも育ちも長野県です。

Q2.小さいときはどんな子供でしたか?

田舎なので自然を相手に遊んでいました。民藝や古い建物、仏像などに興味があり写真撮影したりしていました。

Q3.学校での得意科目は?

美術

Q4.血液型と星座は?

O型、かに座

Q5.陶芸家になろうと思ったきっかけは?

ファッション、デザインの仕事をしてきたので、ものづくりに関わる仕事をしていきたいと常々思っていました。
両親が趣味で陶芸をやっていた為、陶芸に触れる機会が多くあり自分の手でものを作り上げることの楽しさを知り、この先も陶芸に携わりたいという強い思いから今に至ります。

Q6.今作ってみたいと思う作品はありますか?

普遍的なもの、長く愛されるような器を作っていきたい。大物の花器なども制作したいですね。

Q.7どんな方に使って貰いたいですか?

一日一日を楽しむ心を持った方々に自身の分身でもある器を楽しんでいただきたい。自分自身もまたそういったお客さまと触れ合う事で成長していきたい。

小野さんの回答を拝見して益々お仕事への情熱と誠実なお人柄を感じました。陶芸の道に進まれたのはやはりご両親の影響があったのですね。作品を分身と思っていらっしゃる所にも感動しました。いつか小野さんの大物の作品(花器)を見てみたいです。


【2023年3月小野俊展】

Q8.2つの新シリーズについてどんな思い入れがあるか教えてください。

見入る程に味わい深く一言では表現できない色その場所に佇んでいたかのような趣のある表情。
いき過ぎたテクスチャではなく上品でシンプルな中に表情が見え隠れするような釉薬、そんな想いを2つの色に表現したのが「白珠釉」と「銅寂釉」です。

予想通りの熱い想いと愛を感じるコメントに感動です♡ リリースする前にお使いくださる方が困らないようにしたい。と一度お電話で相談を受けたのですが「おもてなしの時だけでなく普段使いにも使って頂きたい。」と熱く語られていらしたのが印象的でした。
その後研究を重ね、撥水力のある仕上がりのものをこのweb展に間に合うように準備してくださいました。

作風から感じ取れることは完璧主義でいらっしゃることも然ることながらご自身が作りたいと思う器をただ作るのだけではなく『本当にお客様に喜ばれるもの』を作りたい方なんだな~と。

お客様ファーストだからこそ沢山のファンがいらっしゃるのだと確信しました私も自宅でかなりヘビロテしていますだって収納力も抜群でお料理がすごく映えるんですもの。


Q9.制作中、特に苦労した点、裏話などありましたら教えてください。

テストピースで思い描く色に出会えても実際の器に施釉するとその色が褪せてしまうことの連続。
その中で自身が信じていたものが変化したりもします。そんな時は手を休め表現や思考の整理を行うようにしています。

なんていうか、とてもキュッと胸が痛む感覚になりました。
本命の色に出会うまで諦めない。
いえ、諦めていたら作品は生まれない。
そう思うと、これはもうモノではなく、息をしたイノチを扱う仕事なんだと思ってしまいました。

私たちは完成形のものと初めて対面して、それを「わぁ~い新作だぁカッコいい〜」みたいな気持ちで、当たり前のようにお迎えしているだけですが、手にするまでの道のりは計り知れないほどの長さだったりすることを、小野さんのコメントから推察することができます。
作り手の方なら、きっとウンウンとうなずいていらっしゃることでしょう。

「テストピース」という響き、なんだかとっても幸せな響き(ピースだから笑)ですが、きっと作家さんにとっては、すごい重みがあって、時に苦しいものでもあるのでしょうね。
窯出しをしたテストピースを見て、「違う!私が作りたいのはコレじゃないんだ」と、百万回繰り返して、ようやく納得のいく色が出来上がる。

どれだけストイックなことをされてるんでしょうか❣アスリートが日々筋トレをして、やっと理想のボディを完成させるくらい大変なことなのではないのかなぁと。
↑たとえがあまりにもヘンですけれど😅
今回の白珠釉と銅寂釉(他の定番の釉薬もですが)は、長い物語を経て生まれてきたものであること、その背景も感じながら、皆様に愛用してもらえたら嬉しく思います。

Q10.ご自宅でヘビロテして使っている作品は何になりますか?

・蓋物
自身の原点とも言える『蓋物』は妻が飴やチョコレートを入れておいてくれるので日常の中で使う頻度の高い器です。
蓋を開けるときの小さなワクワク感
そんな想いを感じられる蓋物が一番のヘビロテ作品です。

・オーバルプレート&フラットプレート
食卓には複数の料理が並ぶことが多いのでオーバルプレートは副菜などを盛りつけたり取り皿としても重宝しています。
フラットプレートはワンプレートで盛り付ける時によく使います。
最近では妻がビリヤニを作るのでビリヤニをメインに副菜を数種類盛り付けて完成。
様々な盛り付けを楽しむことのできる器と思います。

蓋物とオーバル、フラットプレートがヘビロテだったのですね。
愛する旦那さまにスウィーツやお料理(個人的にビリヤニに興味津々笑)を沢山用意してくれてるなんて!素晴らしい奥様ですよね。
実はこのweb展が始まるときにご挨拶のメッセージまで頂いて感動しました。
奥様のサポートもあり幸せな気持ちでこのweb展に臨みました。
大感謝です。

Q11.一番クリエイティブになれる時間帯は何時頃ですか?

特に決まった時間帯というのはありませんが、1日のどこかで散歩をするようにしています。
作業をしていると、そればかりに没頭しなかなか考える時間がないので、街の中に身を置くことで意識的に思考する時間を確保するようにしています。
歩いている最中にアイデアが出ることが多く、頭の中の整理をする大切な時間だと感じています。

なるほど、お散歩中にアイデアが閃くのですね!作家さんはずっと工房に引きこもることが多いので、気分転換が必要なのでしょうね。
これは主観ですが、女性アーティストさんには自然から刺激を吸収する作り手さんが多く、男性は街の中の何かオブジなどからインスピレーションを受けるという方が多いように思います。
面白いですね^^

Q12.自身の陶芸に対する信念、ポリシーなど教えて頂けますか?

毎日朝が来て思うことは“今に集中”するです。
目の前のことに真面目に向き合うことで大きな目標へ向かえると考えています。

新しいデザインの器を考える際は、頭の中にあるイメージを試作品として形に起こし、その中で盛り付けのイメージが湧くものだけを作品としてブラッシュアップしていきます。

使うことが楽しくなり気分が高揚する、そんな作品を作りたいと想いながら日々、陶芸に向き合っています。

いつもの日常に特別という彩りを加える。心が躍ったり和んだり、そんな想いを器を通して感じていただきたいと思っています。

小野さんのご回答を拝見していて、「今に集中」というポリシーに感動しました。ものづくりの世界は一足飛びのものは無いですから、今に集中することが一番大事なんですよね。それを長い時間かけて積み上げていくことで理想の作品と出逢えるようになる。そんな陶芸界の厳しさを感じます。

私が小野さんに対する印象は、「誠実」「責任感」「自分に厳しい」。この3つが挙げられます。絶対に一度約束したことは守ってくださいますし、また、納品そろそろかなぁと気にしていると、小野さんのほうから連絡してくださったり。とてもお気配りのできる方♡

数年前にこんなエピソードがありました。
入荷したばかりの黒鉄釉ポットの蓋の部分に不具合があるように感じたので、メールで問い合わせしたことがありました。そうしたら、速攻でお電話頂き(対応が早すぎて大ビックリ)。
「どのような状況ですか?何度も確認したので不具合などは無いはずですが、万一の場合はすぐに交換します」と。

その時(なんて責任感の強い方なんだろう・・)と思いました。結局そのポットには不具合などは何もなく、私の思い込みだったわけなのですが、あの時はお騒がせしちゃったなぁ。でもすごく親切な対応だったなぁと感動しました。

そしてご回答の中で嬉しかったのはIVORYのコンセプトと被る所です。「いつもの日常をスペシャルな1日に」。実は私もそんな気持ちで日々SNSやHPを更新しておりますから、小野さんの想いも同じ何だな〜って。

  • 2023.04.06
  • 11:23

島村ナナさんに聞いた7つの質問

島村ナナさんに聞いた7つの質問


島村ナナ


Q1.お生まれとお育ちはどちらですか?

熊本県熊本市出身です。

Q2.アートに目覚めたのはいつ頃ですか?

幼稚園児だった頃です。
おままごとに使うお皿を自分で作りたいと思い、当時乗り回していたおもちゃの車(プラスチック製で座席の下が入れ物になっている)の中に、柔らかい石 (今思えば煉瓦の破片など)を集めて来てはコンクリートの階段でこすって少しずつ粉を貯め、ある程度たまったら水で練り器の形にしていました。

でも 粉が少量しかとれず、器はすごく小さなものしかできず、焼いていないのですぐに崩れました。
その時に、お皿ってどうして壊れないのだろう?というのが一番最初のきっかけでした。

∴子供の頃のお遊びでもう器を作っていらしたなんて ビックリですね!
やっぱり陶芸の道に進むために生まれてきたとしか思えないルーツ
「お皿ってどうして崩れないの?」

と疑問に思うところが原点。
ナナさんは小さい時から探求心の塊だったんですね!
素晴らしいです✨✨

島村ナナ


Q3.もし作家さんになっていなかったら今頃何をしていたでしょうか?

高校生の頃は絵画で進学しようと思っていたので美術関係の方か、もしくは歴史が好きなので、考古学の方に進みたいとも思っておりました。

中学生の頃近所でよく遺跡の発掘調査が行われていて興味を持ち、時々参加させていただいていたのですが 見つけた破片に作った人の指紋が残っているのを見た時に、これを作った人はもういないのに、作った手あとが残っている なんとも言えない不思議な感覚に感激と感動で鳥肌が立ちました。

その頃から歴史に携わる仕事をしたいと思うようになりましたが、今では私が「つくる人」になっております。

∴考古学や歴史にもご興味があったのですね。
コメント拝見していたら、ナナさんらしいなぁ と思いました。

いつも作品を納品してくださるとき、美しい便箋に作品1つ1つの説明文を丁寧に添えてくださるのですが、作品への愛情は然ることながら 自然界すべての愛を感じる文面が綴られていてそれにひどく感動しています。

作家さんのお仕事ってほんとに素敵ですね!
自分がいなくなってもどこかで作品が生きてる、そんなお仕事されているのですから。

Q4.これまでで一番印象に残った 出来事は何ですか?

「まだ学生の頃、大変感動したことがあるのですが、焼き物の学校に通い、初めてろくろでひいた作品を初めて窯だしした日のことです。
今は私は磁器を作っておりますが、学校ではろくろの授業でまずは土物(陶器)から習い始めました。
初めてろくろで作った作品を窯だしする日。
どんな風に焼き上がるのかなと冷ますために蓋を開けた窯の周りをワクワクしながらウロウロしていた時に 聞いたことのない小さな美しい音に気づきました。

先生に尋ねるとそれは製品に陥入が入っている音だよと教えてくださいました。
「ピンピン」「チンチン」というような小さな音ですが一斉に聞こえてきて本当に美しくて初めて窯出ししする感激もあり 今でも忘れられない事のひとつになっております

∴ナナさんの焼き物人生が始まった日の想い出を温かいお言葉で教えていただきました。
焼成時に器が奏でる音聴いてみたいです。


島村ナナ

Q5.今回の展示会で一番思い入れのある作品はどちらになりますか?

A「すべてそれぞれに製作したときの気持ち思いが等しくあるので迷ってしまいますが、小さな作品になればなるほど難しいため無事に完成したときには とても嬉しくなります。
例えば 雪の結晶箸置きやミニ土鍋形蓋物、梅紋様細長豆皿です。
雪の結晶紋様箸置きは繊細な形の上、焼き上がるまでは脆いので窯に入るまでに割れてしまったり、ほんの少しの振動で角がとれてしまったりと 気が抜けない作品です。
しかも 少しずつ形を削り出す際など力加減が難しく繊細な作業が続きます。

その後仕上げなどを経て無事に窯づめして無事に窯出しできた時には、本当に嬉しくなります。
小さな物=簡単と思っておりましたが、実は小さな物ほど力加減が難しかったり細かい作業で大変だったりと、決して簡単ではないのだということがよくわかりました。
絵付けやろくろでの成形も同じで小さな物ほど筆のタッチの加減が難しく、慣れない時には緊張して手が震えたりしておりました。
ミニ土鍋形蓋物の小鳥たちを描く際には目を描く事が難しかったです。
小さいけれど自分が思っている表情になるよう思う位置に目を入れなければいけないのですが、小さいとやはり緊張して手が震えてしまいます。
でも 思い通りの表情がきまった時には、本当に嬉しくなります。

∴〜大きいものより小さな物の方が難しい〜

素人からすると大きな物のほうが難しそうだというイメージがあるのですが、陶芸の世界は違うのかもしれませんね。
それなのにナナさんはミニサイズの器に沢山チャレンジされていらっしゃいます。
驚愕したことがあるのですが、今回出品して下さった中で私の最もお気に入りの作品が雪の結晶箸置きとミニ土鍋型蓋物だったので、これまたビンゴ!って思ってしまいました^^
小さな器にはナナさんの大きくて熱い想いが詰まっていて沢山は作れないからこそ価値があるので、今回ご縁がありました方にはいつまでも可愛がっていただけたら嬉しいです。

Q6.お休みの日は何をして過ごしていらっしゃいますか?

なかなか決まった日に休みを取ることができないのですが、大きなイベントや展示会が終わった後に少し休みます。
展示会前はなかなか家の事ができなくなるので、休みの日にはまずは家の事をします。

それが終わったらこれから作りたいと思っている物について技法を調べたり、モチーフのスケッチをしたり、図書館に調べ物をしに行ったりします。
また、私は自然が大好きなのですが、有田町はまだまだ沢山の自然が残っており散策してまわるのにとてもよいところです。
景色を見ながら季節の山野草を見つけたり、野鳥の声を聞いたりしてリラックスします。

始めてみる植物や鳥を見つけたら家に帰って図鑑で調べるのも楽しみです。
そして、自分が描きたい作りたいと思っている作品のためのスケッチの時間にしたりもします。
自然の中で出来る一瞬の風景に出会ったときは本当に感動します。

作り手さんたちあるあるでなかなか決まったルーティンでお休みが取れないと聞いておりますが、ナナさんも例外ではなかったのですね。
ゴールデンウィークは有田陶器市がありますし、それ以外にも細かい企画展があるとほんとに休みなく制作に追われる日々だと推察しています。

それでもお休みの日は家事以外の「自分の好きなこと」をされていらっしゃるのですね。
自然の中で多くのインスピレーションを吸収してそれを制作に反映させていらっしゃるのでしょうね。
これからの新作も楽しみでなりません。

島村ナナ

Q7.自身の作品作りで最も大切にしているコト、信念があれば教えてください。

作品を使ってくださる人の事を考えながら楽しい気持ちを込め丁寧に作ること・新しい事にもチャレンジすること・心身をととのえることです。 私の作品を使って下さる方が楽しい気持ちで末長く使って下さったらいいなぁ…、その為には自分も楽しい気持ちを込めながら丁寧に作ろうと思います。
でも人間なのでいつも楽しく元気でいることが難しい時もあります。
そのような時に作った作品は、なぜだか窯に入る前に割れたりひびが入ったりして壊れてしまう事が多いです。
そんな時作品は正直だなと思います。

そのような事にならないよう、心身を整える為に健康に気を付けるようにしています。
また 私は一つの技法に集中すると新しい事へのチャレンジが遠のきがちになってしまいます。
新しい技法を取り入れるためには時間がかかり時には数年かかることもあるため、ついついチャレンジを後回しにしてしまうのですが、同じ技法だけでなく自分が作りたいと思う物に合う技法を新しく取り入れるため「チャレンジする心」を忘れないよう心がけております。

ナナさんの誠実なお人柄が伝わるコメントでしたね!
そういえば昨日いただいたメールでドキっとすることをおっしゃっていました。

昨日お友達のスマホでWEB展の様子を見てくださったのですが
「遥香さんの鳳凰のプレートを見てびっくりしました。実は一昨日、七色に光る雉のような鳥が沢山集団で飛んでる夢を見ました。遥香さんの鳳凰だったのかなと嬉しくなりました(*^^*)」

ナナさんは予知夢が見られる方なのでしょう。
七色に光る雉はまさしく遥香さんの鳳凰に違いないです。
思いがけずそんなミラクルなお話も聞けて私も最高に嬉しかったです。

菊地遥香さんに聞いた6つの質問

菊地遥香さんに聞いた5つの質問


Q1.遥香さんの作品には面白いネーミングがたくさんありますね。

「コップ醸造・醗酵」「鉢 野菜が食べたい」「ordinary」それぞれの由来について教えてください。

ネーミングに関してはよく、色々な方からツッコミをいただきます。
よくよく考えているものもあれば、直感も多いです。

「コップ 醸造・発酵」は、発酵の方が先で、春慶の黄金色がビール酵母のように思えてきたことから「発酵」に。
では玉虫は…ワインだな!と「醸造」になりました。暑い中での作業でアルコールを欲していたものと思われます。 「鉢 野菜が食べたい」は、自分が好きな料理を美味しく食べるために作りました。
何を入れるか考えていると、ゴロゴロの野菜のポトフや豆が沢山のサラダ…等々 ひたすら野菜中心の料理ばかりで。 それしか頭になくなって何も思い浮かばず、ストレートに名前をつけました。最近はこれでひたすら鍋を食べています。白菜が美味しい。

「ordinary」は他の素材の器ではよく見る形が、漆では少ないな、と思ったことから、 シンプルにこの3つがあれば丸皿は事足りるような使い勝手の良いものを作ろう!と考え、 「普通の、ありふれた」みたいなニュアンスの英単語なんかない?と友だちに教えてもらいました。 commonと迷ったのですが。
普通の皿ではありますが重ねた時の美しさにこだわって、 ふちの厚みや立ち上がりの反り方を大きさごとに細かく調整し、それが際立つよう縁部分には純銀を施しています。
ordinaryが3つあわさるとharmonyになる、という韻踏み裏テーマがあります。

∴それぞれ詳しく教えて頂きありがとうございます。
なるほど、そういった背景があったのですね。 どんなものでも"直感"で考えるクチなので遥香さんのネーミングの閃きは、どれも共感出来るものばかりです。

ordinaryと野菜が食べたいは想像がついたのですが「醸造・発酵」は思いつかなくて 今由来を聞いてスッキリしました。
このコップで頂くビールのお味は格別でしょうね!もちろんワインも この形状で漆器は確かに初めて拝見したかもしれません。 スタイリッシュで使いやすいプレートですね。

今回出品されている作品に春慶塗りが多くて、その黄金色の美しさに毎日目を奪われています 去年は渋くてシックなものが多かったですが 今回は華やかな器が沢山あって私も撮影が楽しかったです^^

Q2.今年初めてチャレンジしてみた技法はありますか? 
もしあればどのような技法か教えてください。

今年初めて挑戦した技法は銀箔の硫化です。 変化、という名前の品物がそれにあたりますが、 ちょっとしたことで変わる表情がとても面白かったです。

漆の技法は本当に様々なので、組み合わせや工夫で、 みなさまに楽しく使っていただける形で色々な品物を作っていきたいと思っています。

∴工房を見学させていただいた時に 確かにこの"四角プレート変化"との対面は衝撃的でした!硫化を施された銀箔の表情が1つ1つ個性的でまるで今にも動き出しそうな迫力!!
最終的に銀箔部分がどのような色に仕上がるのか、作り手としてもワクワクだったりするのでしょうか。

自然と人とのコラボレーションから生まれたアート作品 あなたが選んだものは必ず一生お気に入りの1枚になりますよ!

菊地遥香


Q3.工.先日会津の工房にお邪魔した際に“食べることが大好き”とお聞きしました。  
お料理はどんなものがお好きですか? 

親方が暴露しましたね!笑
そうなんです。食べることが本当に好きで。 ただ好きですがグルメではないのでなんでも美味しくいただきます。

質問の主旨と逸れますが、以前友人と「可食部」という部活動を結成し 野菜や果物の皮や種をどこまで食べられるか挑戦したのが面白かったです。 空豆のさやをミャンマーでは食べるというのが衝撃で、作ってみたりしました。

∴うふふ  親方がぽろっとお話してくださったエピソードが楽しかったです  あれはたしか牛タンのエンドレス事件でしたね。わたしも牛タン大好きなので共感です^^
「可食部」という部活動を?すごいですね!そんな部を作っちゃったなんて(*_*) 野菜や果物の皮や種ならば逆に健康に良さそうな活動ですね。

次回お会いしたときに、もうちょっと突っ込んでお尋ねしてみたいです。 来年こそは遂行できるといいですね。(私もついてきた~い~)

Q4.ミモザシリーズのネーミングは何故14℃なのですか?良かったら由来を教えてください。

鉄錆での図案を考えていた時に元子さんに好きなモチーフをお聞きした中にミモザが入っていたので今回絶対作ろう!と思い作りました。
ミモザわたしも好きでミモザミモザ言っておりますが正式な名前はアカシアなのですよね。

どっちをつけるか悩んでどっちもやめて、まだ寒いけど春の花を買いに行きたくなるような気温ということで14℃にしました。
春の花のように気持ちを華やがせてくれるうつわが作れるようになりたいですね

∴素晴らしい発想力!このようなネーミングってセンスがないとなかなか思いつかないのですよね私も長年文章を書く仕事してますがアッパレ!と叫んでしまいました。
遥香さんのネーミングセンス毎度脱帽しています。
実はご本人いわく「自分が覚えやすいように好きにつけてるだけ」なんだそうです笑っちゃいますよね^^
だけど、遥香さんにしか出来ないことですだから作品にしてもネーミングにしても遥香さんにしか出来ないお仕事されてるなぁと改めてリスペクトしました✨これからのネーミングも楽しみです^^

菊地遥香

Q5.血液型と星座を教えてください。

星座は射手座で、血液型はO型(ぜったい当てられる)です。

∴ふふ。ほんとO型って感じします~
明るくて、おおらかで、世界観広くて。
O型の方は責任感も強くて、人とのお付き合いが上手そうそんな風に思うのですが遥香さんのイメージそのものです。
星座は嬉しい!親近感わきますね。

私も射手座ですから❣
射手座女子は自由が好きで好奇心旺盛なのよねと、夜型の私達日付が変わる時間帯にチャットで盛り上がりました^^
末っ子の長女である遥香さん私が一番リスペクトしているところは人とのお付き合いを何より大事にしているところ、お若いのに気配りの人なのです。 さすが冨樫さんのお弟子さん♪
きっと親方はお仕事の事だけでなく社会人としてのマナーについても受け伝えらられているのでしょう

  • 2023.03.30
  • 14:26

冨樫孝男さんに聞いた3つの質問

冨樫孝男さんに聞いた3つの質問

冨樫孝男

Q1.今回のweb展にご出品の「トランプ皿」というネーミングが斬新だったのですがその由来を教えて頂けますか?

正式な製品名と、工房で呼んでいるニックネームがございます。
例えば、「細口杯」という正式な商品名も物を工房では「ショットグラス」と呼んだり「四分一塗り」の事は「月面」と呼んだり、、、、

たまにギャラリーさんへの出品リストを間違えて工房呼び名で記載するハプニングもございます。
今回のトランプ皿は、おそらく漆風のネーミングでいくと「縁錫地黒角皿」といった感じになると思います。
元々のイメージが、トランプのようなイメージのお皿にしたい、、、 12のクイーンや13のキングをイメージするよう制作し工房呼び名がそのまま商品名になってしまった珍しい例です。

ご回答ご丁寧にありがとうございます。 トランプ皿にはそう言った由来があったのですね。12のクイーンや13のキングをイメージされていたのですね。
朱がクィーンで黒がキング。このお話を聞いたらトランプ皿がなんだかそんな風に見えてきました笑
工房名はなんだか特別感があっていいですね。裏メニューみたいな感じで今度私も「四分一塗り」のことを「月面」って呼んでしまいそうです^^

Q2.今回のweb展で出品されたものの中で 最も思い入れのあるお品はどちらになりますか?

八角リム皿と西洋皿です。 私は個展も行いますし、グループ展も今まで沢山やってきました。 また、焼き物作家さんやガラス作家さんの展示も拝見したりしておりました。
漆製品がずらっとならんだ展示の様を見て、ずっと気になって気になって仕方ない商品が漆の「お皿」でした。

「どうして漆のお皿は、漆のお皿って感じになってしまうのだろう、、、」
私の物、他の漆の作り手の物、やはり「漆の皿」という感じなんです。 展示の最中そればかり考えておりました。
焼き物とガラスと何が違うんだろう.......と。

漆は木の特性上、口径が大きなお皿になればなるほど、縁厚がボッテリしてきます。 更に中心にいけばいくほど、さらに厚くゴツくなっていきます。
これは木材の変形防止で、理由があってその厚みですので仕方ない事ではあるのですが、 「軽やかさ」が漆のお皿に無いのでは、、、と感じました。

どうにかして、軽やかなお皿を作りたい。 そう考えて作ったのがリム皿と西洋皿になります。
持った感じも、ゴツくなく、変形もないように制作いたしました。

とても貴重なお話を聞かせてくださってありがとうございます。
「漆のお皿はどうして漆の皿って感じになってしまうんだろう」という一文が印象に残りました。

冨樫さんはどうしてこんなにも器用で(陳腐な表現ですみません...)高い技術をお持ちでいらっしゃるのだろう、、と不思議だったのですが そのナゾが解けた気になりました。

その*探究心*こそが不可能を可能に変えていたのですね! 少し前にリリースした新作西洋皿は、全ての壁をクリアされてびっくりするくらい軽いし使い勝手も良さそうなデザインです。
冨樫さんの塗りのセンスは言わずもがなですが 造形美への探究心に益々脱帽ですね。

冨樫孝男


Q3.工房のお弟子さんたちを連れて毎年慰安旅行されていると聞きましたが、これまでにどのような場所へ行かれましたか? 

国内ですと、青森の三内丸山遺跡をみたり、輪島塗りを視察したり、姫路城、北海道など。
海外ですと、台湾、中国本土、ドイツ、オーストリア、チェコです。
私も修行中、師匠に国内、海外と色々な所に連れて行ってもらい、沢山の事を教えていただきました。 それがすごく仕事や今作ってる物の元になってる気がします。

自分も弟子達に同じ様にしてあげれたら......と思い、慰安旅行をはじめました。
この状況が落ち着けば、国内なら京都、海外なら東南アジアの遺跡などを見れたらと考えております。

わぁ、すごいですね! 皆さんで国内も海外もあちこち行かれてて素敵な親方ですね。

やはり"遺跡"など歴史のあるものから何かインスピレーションを感じ取ってご自身の作風にフィーチャーされているのですね。ヨーロッパがお好きとおっしゃる理由が分かりました。
コロナに入ってからずっとご旅行に行けてないと思いますが。
来年こそは遂行できるといいですね。(私もついてきた~い~)

  • 2022.02.22
  • 13:52

大野香織さんに聞いた7つの質問

大野香織さんに聞いた7つの質問

大野香織

Q1. ご出身はどちらですか?

生まれは兵庫県神戸市です。その後、大阪に2年、また兵庫に戻って大学卒業するまで関西に住んでいました。 

∴関西長いのに全然関西弁が出ないのが不思議(笑) もう少し補足しますと、茨城在住なのはご両親のご出身地だったからとのことです。
福岡ご出身のご主人佳典さんも陶芸作家さん。 ご主人は白磁の作品を作られています。 @ohno.yoshinori.ceramics ご自宅にはお二人の立派な工房があり、香織さんは毎日ではないけれど陶芸教室もされています。


お庭にはすばらしい菜園があり、いつも新鮮なお野菜が食卓にあがります。 んな羨ましすぎる環境に大野家があります。 お二人のセンス溢れるおしゃれなお宅には何度も足を運びたくなります。

Q2. プロの陶芸家になるためにどのような努力をされましたか?

諦めなかったこと、だと思います。
商社のOLを経て30歳で陶芸の世界に入りました。窯業指導所(現笠間陶芸大学校)終了後すぐに結婚して出産しました。
美大系でもない、スタートも遅い、子育てしながらで時間もないけど、諦めず、細々でもいいから手を動かし続けようと決めて続けていたら、こうなっていたという感じです。 

∴うんうん。と頷きながら読ませていただきました。自分にも重なる部分があって。 きっと小さい頃からアートにはご興味があったのだと思います。
しかしあの時代はOLになれば安泰だと言われていましたから。スタートは遅くてもその選択は間違いではなかったと思います。


通常ならば「この道でいいのか」と藻掻いて脱線する人もいるのに、いつのまにか、好きなことをコツコツしていたら、こんなに素敵なアーティストになっていただなんて! 素敵すぎるし最高にカッコイイ!

大野香織


Q3. 今の仕事は天職だと思いますか? 

天職といえるかどうかはわからないのですが作ること、食べること、盛り付けることが好きなので器作りには向いているのかなと思います。

∴器をつくるのも、料理をつくるのも、盛り付けるのもお好きだという香織さん。 工房に行ったときに「なんでもお好きだなんて凄いですね」って言ったら 「片づけるのは・・・(てんてんてん)」と言ってたのが印象的でした(笑) 

無の空間から自分の感性で表現することは得意だけれど、それを無に戻したりするのは私も苦手。
きっとクリエイティブなことが好きな人にありがちだと思います(良い意味でね(^_-)-☆)+料理+盛り付けエキスパートはこの世にごまんといるけれど、香織さんはこれに+和装+茶道もできちゃう超人なのです!


和文化をここまで極めていらっしゃる陶芸家さんは希少ではないかとも(たしか着付けは自己流で教室には通わなかったって言ってたような)。和文化に熟達したライフスタイルにリスペクトの気持ちでいっぱいです! 貪欲さのないサクセスストーリー(笑)  そこが香織さんのいいところですね!! 

お互いにこの業界に入って20年ということで、これからも「同期としてww」よろしくお願いします。 

Q4. 陶芸家になっていなかったら、今頃どんな職業に就いていたでしょうか? 

男子寮のまかないのおばちゃんとか、楽しそうだなあと思います。 誰かのために作って、美味しそうにたくさん食べてくれる姿を見るのが大好きなので。
着物も好きなので、小料理屋の女将にも憧れます。

∴わ!先日お話されていたこと本当だったんですね!! 男子寮のまかないとか 小料理屋の女将とか...私は冗談かと思ってましたけど本気だったなんて。
香織さんの母性の豊かさを感じるコメントですね。

大野香織


Q5. 家庭と仕事と自分時間の比率はどんな感じですか?

子供が小さいときは、家庭70仕事30自分時間は限りなく0でしたが、今は落ち着いて、感覚的には1:1:1ですね。
質問からずれるかもしれませんが、全部100点で完璧ということではなくて、 母として30点、仕事人としても30点、1人の女として30点でも全部足して100点近くになればいいかなって思っています。

きっちり完璧は無理だし、自分なりのゆとりがないとしんどくなってしまうので…適当なところで家族に許してもらっていると思います 

∴子供さんたちが小さい頃からのお付き合いなので知っていますが、あの頃もお仕事の量は今と変わらずきちんとされていましたよね。 その代わり自分時間を犠牲にして。 
でも、やっと一段落ついて自身の自由時間が出来たようで何よりです。いつも陶炎際で元気なお姿を拝見していましたが、これからは東京や横浜にもちょくちょく遊びに来て欲しいです~

香織さんがフットワーク軽いの知ってますからね。もう7年くらい前に国立にお店があった頃和服姿で来てくれましたね。 近くのフレンチランチ頂いてワイン飲んで...楽しい時間でした。 帰り道に香織さん携帯電話を店に忘れて...私が追いかけてったというエピソードも(バラしちゃったよ)。


いつもアクティブに和装で動き回ってるので、皆からすごい"デキる女性"と思われてるはず。だけど 「満点じゃなくてもいいと思ってるんです」という、緩さがある女性って本当にカッコイイと思います。

自分にもゆとりがあるから他人にも多くを求めず、寛容でいられるのだと思います。
そこが香織さんの魅力の1つなんだな?としみじみ。
同じAB型で、同じ射手座故思考が似てるのかもしれない。

Q6. 新作GAIAにはどんな思い入れがありますか?

わたしが今こうして陶芸の道を歩み続けていられるのは、40歳以上年上の先輩女性陶芸家・堤綾子さんのお陰です。
残念ながら今年1月に他界されましたが、最後まで土と炎への情熱を燃やし続けた方でした。
ご自身にも弟子にも厳しかったけれど、根はお茶目で、女性らしく、とても母性のある方でした。いつも褒めて励まし続けてもらったお陰で、細々でも続けてこられたのだと思っています。

このGAIAのシリーズに使っている原土は、その恩師の先生と一緒に北茨城で掘ってきた土です。先生のお道具を分けていただいて、それを使ってもいますので、そばで見守られながら制作している気持ちになります。

子育てが一段落して、ようやく自分自身の作品として世に問うことができた最初の作品が、人生の恩師である先生と縁のあるシリーズとなり、感慨深いです。感謝と感動の気持ちを感じながら制作しています。 

∴そうでしたか...GAIAにはそのようなストーリーが隠されていたのですね。私にとっても感慨深いです。
というのも、はじめて作品を拝見したときに何か強い波動を感じたからです。

堤先生から受け継いだお道具と、北茨城で一緒に掘ってきた原土で作っている作品と聞いて、益々愛おしくなりました。
大きな作品も小さな作品もエネルギーが漲っていてこんなにも陶器が"生きている"のを感じたことは無く、質感も景色も他に類を見ない逸品ばかりです。

時代とともに陶器も洗練されたものに変わってきていますが、このGAIAは流行に左右されず独自のブレない魅力のまま年月を重ねていくのでしょうね。  

素朴な土味でもコテコテな感じにならない作風と料理を盛るとさらにその器の価値が上がる素晴らしき感性にもリスペクト!! たとえこの先どんな器が流行ろうとも関係ありません。私は無条件にGAIAが好き?  同じ価値観でこの良さを分かって頂ける方に愛用していただけると嬉しいですね。

大野香織


Q7. 作品づくりで自身が最も”大事にしているポリシーや信念”がありましたら教えて下さい。

入れ物の先、を意識しています。
例えば、家を建てたらそれは終わりではなく新しい生活の始まりであるように、器は迎え入れてもらったら、そこから新しくストーリーを紡ぎだす。

何処へ旅立って、どう使ってもらえるかな、何を入れてもらえるのかなーと盛り付けた時を想像しながらカーブを整えたり、サイズや角度を変えてみたりして制作するのはとても楽しいです。

作業工程で大事にしていることは、大胆さと繊細さのバランス。思い切っていくところと慎重に手を動かすところを見極めて、手数をできるだけ少なくシンプルに作りたいと思っています。 

SNS上で、それぞれに使われて皆さんの食卓におさまっているのを見ると、本当に幸せな気持ちになります。この場をお借りしてありがとうございますと伝えたいです! 

∴作り手が作品を制作しているときは無言でその作業に集中しているのは誰でも想像がつくものですが、どんな事考えながら手を動かしているのかな?が最も知りたい部分でした。 
香織さんの回答を見て「やっぱりそうだったのね」と。
器が嫁いでいくところは一体どんなオウチなのかしら?

そこではどんなお料理に盛り付けてもらえるのかな!? 
そこの家庭はどんな家族がどんな食卓を囲んでいるのかな?
どんな会話が飛び交うのかな?etc

実は器屋も同じことを考えながら販売しています。

スエトシヒロさんに聞いた七つの質問



Q1.ご出身とお育ちはどちらですか?

「福島県生まれ福島県育ち長野県在住、焼物については愛知県瀬戸仕込みです。」

菊地:スエさんと出逢った頃は福島にいらっしゃいましたが
今は長野の駒ヶ根という素晴らしい環境の中で暮らされていています

このweb展の前に工房に遊びに行きたかったのですが
コロナ禍で身動きできず、諦めてしまいました(涙
アルプスの景色も工房の取材も楽しみにしていたんですけど...残念!

いつか行けるかなぁ・・その時はバッチリ取材させてもらいますね(^_-)


Q2.アートに目覚めたのはいつ頃ですか?

「特に意識してはいませんし、もしかしたらまだ目覚めていないのかもしれません。

ただ、近隣に美術館などの無い田舎に育ちましたが、初めて自分から美術館に赴きたいと感じたのは高校生の折のベン・シャーン展でした。版画の連作が印象に強く残っています。」

菊地:えぇ まだ目覚めてないなんて笑笑!

そして陶芸とかではなく絵画(版画)にインスパイアされてアートの世界に浸ることになったんですね。
それは驚きです。

スエさんの作品って型作りから始まることが多そう

工房にお邪魔できたら工程など色々伺いたかったのですが...また次回のお楽しみにさせていただきます^^

スエ七つの質問

Q.3 もしアーティストになっていなかったら今頃何をしていたでしょうか?

「今の自分がアートだとは思っていませんが、ものづくり全般以外、ということでしたら、ネイチャーガイドなんか魅力的に感じます。」

菊地:ご自身ではアーティストっていう認識がないなんて...
間違いなくアーティストなのに...と思ったのは私だけではないはず笑
ネイチャーガイドさん 昔山登りしたときに見かけたことがあります。ネイチャーガイドのお仕事も夢を売る素敵なお仕事🌿ですよね。
スエさんのガイドでハイキングしてみたいです^^


Q4 この仕事に就いて一番印象に残った出来事は何ですか?

「独り立ち出来るかどうかという頃、あるイベントで私の器を購入して下さったお客さまからお手紙を頂きました。『初めての作家モノの器に緊張しましたが、まったく無理なく馴染めました』この言葉に嬉しく、それからの器づくりの方向が定まったと感じています。」

菊地:ステキなエピソード💌そのお客様の手紙は宝物ですね♪ 

作家モノの器って初めて使うときはたしかに緊張します

最初は棚に飾ってあるだけなんてこともありましたが

器って使ってナンボ!ですから、そのお客様のように
無理なく馴染めたという言葉を聞いたら作り手として最高ですよね^^

すてきなエピソードをシェアしていただき感謝です💓


Q4 これまで作ったことのないもので、今後作ってみたいものは何ですか?


「作ったことが無いわけではないのですが、幾度も試験しながらなかなか納得
に届かなく、当面目指したいのはこの地域の果樹灰を使用した釉薬の器です。」

菊地:果樹灰、いろいろあるんですよね!
以前ある作家さんがご自宅の庭のりんごの木で釉薬作っていらっしゃいました。

自然釉、しかも自分の庭で育てた木から抽出した釉薬を作品に使うのは本当に愛着たっぷりな作品になるはずです。

その場合は白磁ではなく陶器の展開っていう事になるのでしょうか。。
わぁ~スエさんの色のついたシリーズぜひ拝見してみたいです。


Q6.お休みの日の過ごし方はどんな感じですか?

「同業方々も似たようなものかと思うのですが、この仕事をしているとあまり
ハッキリと「お休みの日」という気持ちになり難くて。

工房を離れればメリハリが付くのですが、そのほとんどは小学生の息子とのお出掛けなので、息子の現在夢中なことに付き合いつつ私の好みの場所に付き合わせる、のが楽しい休日です。」

菊地:理想のパパ ですよね~息子さんの夢中なことに付き合ってあげるなんて!
スエさんの子煩悩ぶりを知れて嬉しかったです^^

フリーランスの場合、ON/OFFのメリハリがなかなか持てないですよね。
自分でわざわざ作る感じで。
今度駒ヶ根遊びに行ったら息子さんにもお逢いしたいなぁ☺

Q7.自身の作品作りで最も大切にしているコトは何ですか?

「何よりも意識しているのは、自分の中を経てカタチに出来たモノ、であることです。

造形や加飾についても、自分の器らしい姿、と認めることが出来るようにと心掛けています。
かつ、使い疲れや使い飽きに繋がらぬよう、主張を抑えた簡素な形であることも。

日々の暮らしの中で、気に留めるほどでもないけれど心地よさを感じてもらえるような器、が理想です。」

  • 2021.09.24
  • 10:29

末國清吉さんに聞いた7つの質問


Q1.ご出身とお育ちはどちらですか?

「栃木県足尾町(現,日光市足尾町)生まれ。脱サラし京都の晴耕社ガラス工房、荒川尚也氏に師事。独立を期に妻の実家でもある広島で工房を立ち上げました。」


Q2.アートに目覚めたのはいつ頃ですか?

「1999年までサラリーマンでしたので、アートとはかけ離れた場所に身を置いていました。

しかし、アートと言っても今一つピンと来ないんです。脱サラして始めたので当然美術系の学校を出たわけでもなく、また、ガラス作家はガラスの専門学校を出てる方が多いんですけど、そこにも行っていませんので。アートよりもクラフトの方がしっくりきますかね。職人のイメージ。

何かモノづくりがしたい、っていうのはサラリーマン時代から、いやもっと前から考えていたんだと思います。

脱サラのきっかけは色んな要因が重なるんですけど、その中の一つが昼休みの茶店でのランチの時に何気なく手に取ったPenと言う雑誌、その中でオールドグラスの特集をしていました。

カットを多様するでもなく素朴な作りなんですが、存在感のあるロックグラス。
こんなものを作ってみたいな、と思ったのがきっかけの大部分を占めました。

また、陶芸でもなく、木工でもなく、ガラスを選んだのもこの雑誌に出会ったからなんだと思います。」

菊地:もぅもぅ遠い存在に思っていた作家業がすごく身近に感じる内容で引き込まれてしまいました^^

だって脱サラする前に茶店(なつかしいww)でたまたま手にした雑誌がターニングポイントになったのですから❣

私自身そんなことを考えた時があったので、もっと根性があったら
作家さんになれたのかなぁと今更ながら思ったりして

誰かにすすめられて..とか、ではなく自分の道を自分で切り開いていく..

というのは、強い精神力と行動力が必要なんだなって

お手本を見せていただいた気分になりました

素敵なお話をありがとうございます💓



Q.3 もしアーティストになっていなかったら今頃何をしていたでしょうか?

「サラリーマン続けてたんでしょうね、そこまで嫌いではなかったので。
興味がある職業は大工ですかね。大工の棟梁かっこいいんですよ。いつかは自分で家を建てたいと思っているんです。
今現在、大工の真似事ですが、ギャラリースペースを作っている最中なんです。手作りなのでいつ完成するのやら。」

菊地:サラリーマンも嫌いではなかったなんて尊敬してしまいます(←私はムリだったので^^;)

それ以外の職業は大工の棟梁ですか。もの作りの達人末國さんらしい回答ですね❢

ギャラリースペース完成したら遊びに行きたいと思っています〜楽しみ💓


Q4 この仕事に就いて一番印象に残った出来事は何ですか?

「独立後初めての露店販売でしょうか。

広島に戻り、工房の改装や窯の製作に丸一年を要しましたので
初めてガラスを吹くのも一年ぶり。

何もかもが一からなので当然出来るものは大したものじゃなく、それでも何とか形になった物を、たまたま目にした地元のフリーマーケット(怪しい)へ

参加料千円だったか忘れましたが、それを払い出展しました。小さなタープの下、足のぐらつく棚の上に器やらコップを数点。

その後ろに折り畳みの小さい椅子に座っていました。

しかし、待てど暮らせどお客が来ない。半日経っても二人か三人。出展者もまばらだったので、まさに自分の居場所が、つげ義春の無能の人状態。

俺は石を売っているのかと思えて来るほどぽつんとしていました。

帰り際に古着を売っていたおじさんがコップを一つ買ってくれました。おじさんも多分一枚も売れてないだろうに。

千円の所を五百円だけ貰いました。帰りの車の中で少し泣いたのを思い出します。商売って大変なんだなあってしみじみ思いました。」

菊地:このお話を聞いて私も思わず涙💧が...

作家人生初期はきっと作家さんなら全員経験していることなのでしょうね

その古着屋のおじさん なんて人情のある方なのでしょ😂😂

売れっ子になると忘れてしまいそうなのに、末國さんもスエさんも『初心』をいつまでも忘れないでいる作家さんなのだ...と感動しました😂

「俺は石を売っているのか」というこのフレーズ、すごく深いですね。
つげ義春さんの無能の人、読んで見たくなりました笑

ほんとに貴重なお話をシェアしてくださりありがとうございました✨


Q5 これまで作ったことがないもので、今後作ってみたいと思う作品はありますか?

「建築関係で使えるもの。ドアノブとか取手とか。鉄と組み合わせて何か作りたい
なと考えています。椅子もいいかな。」

菊地:ガラス製のドアノブ、とってもおしゃれだと思います!
鉄のものとの組み合わせも素敵!

木や鉄とガラスって相性めっちゃめちゃいいですものね。
椅子~!どんなのだろう?とっても興味あり。いつか椅子の作品も発表してくださいね♪




Q6.お休みの日の過ごし方はどんな感じですか?

「決まった休みは無く、ほぼ何かしら動いています。
田舎暮らしはすることが多いんです。草刈りに薪割り。今は空いた時間は大工仕事です。

しかし、これからのシーズン。唯一の趣味でもあるキノコ採りが始まるのです。

こうなると仕事そっちのけで山に入ってしまいます。11月中旬までは仕事が手に着かない日々。」

菊地:そういえば・・・以前末國さん奥様のキノコの手料理の瓶詰めを頂いたことがありましたね。

ヒラタケだったかなぁ~。お手製柚子胡椒も美味しく頂きました。
〇〇狩りも大好きだし、キノコも大好きだから今度一緒に連れてってください笑


Q7.自身の作品作りで最も大切にしているコトは何ですか?

「邪魔しない、ってことでしょうか。素材であるガラスの優位性は透明であること。だからなるべく邪魔せずに、いかに内容物を引き立てられるか。

料理やお花の美しさには敵いません。

ガラスそのものもキラキラして綺麗なんですが、何かが入ることでより一層輝けると思うんです。また自分のガラスは、原料を独自に調合していて、ガラスそのものを一から作っています。

透明感や艶を第一に考えて調合しているので、一味違ったガラスの質感を感じて
頂ければと思います。」

  • 2021.09.21
  • 13:44

岩山陽平さんに聞いた7つの質問


Q.1 生まれと育ちはどちらですか?

A.1 札幌生まれ札幌そだちでございます。


岩山陽平七つの質問


Q.2 陶芸家になろうと思ったのは何歳の時ですか?

A.2 20歳の、成人を迎えた記念すべき年に。 


Q.3 もし陶芸家になっていなかったら今頃何になっていたでしょうか? 

A.3 当時、お笑い芸人になるか陶芸家になるか迷っていたので、お笑い芸人を目指していたと思います。 

感想:20歳に陶芸家になろうと決め、ほんとうに夢を叶えてしまったなんてカッコよすぎです。

お笑い芸人!! 
あまりにお似合い過ぎて(笑) 
あまり驚きがありませんでした(笑笑)

岩山陽平七つの質問

Q.4 この仕事に就いて一番印象に残った出来事は何ですか? 

A.4 ずっと憧れていた映画のシリーズで、うつわを使って頂いた事です。 

北海道を舞台に、チーズ作りの青年の物語を、大泉洋さん主演で撮った『そらのレストラン』その映画にてフラットマルサラを使って頂きました。 
最後の大切なシーンで、羊のお肉が盛られているのを見た時に、あぁ夢がひとつかなった!と本当に嬉しくなったものです。 
映画のエンドロールに名前が載るなんて滅多にない事なので、テンションマックスに上がりました。笑 
素敵な映画なので、皆さんぜひ観て下さいね。 

菊地:素敵~ 
そんなことがあったんですね! 
そう言えば…. 
札幌の橋本さんの工房(TENSTONE)でお会いした際に、そのお話をしてくださいましたね。 

大泉洋さんがフラットマルサラでお食事してくれたなんて、お話聞いただけで興奮しちゃいました! 

エンドロールに自分の名前が載ったら気絶しそう(笑) 


Q.5 これまでに作ったことがなくて今後作ってみたいと思う作品は? 

A.5 これは頭の中に沢山あるのですが、一つあげるなら、果物の形をした蓋物を作ってみたいです。可愛いやつです。 

菊地:そうなんですね~! 
今回素敵な1点物の蓋物の入荷がありましたけれど、あの蓋物がリンゴとかミカンとかになるのかなぁって、想像してしまいました。 


岩山陽平七つの質問


Q.6 お休みの日は何をされていますか? 

A.6 休みの日は子供と遊ぶ事がほとんどです。 
後はお酒を呑みながら好きな動画を見て、料理をするのが好きです。 
クッキングパパに憧れていますので! 

菊地:一昨年の夏札幌でお会いした時 
お子さんのお話聞かせていただいたことを思い出しました 
食事している時にも「パパ早く帰ってきて~」と連絡が入って、陽平さんを早く開放してあげたくなりました。 

お料理もお得意なんですね! 
以前ブログにご自身のお料理を載せていらしたけれど、美味しそうでした。 
お逢いしたときの印象は 
さわやかで
ユーモアがあって
すごく素直で… 
一言で言うと『皆から愛されてる人』そんな印象の方でした 

この個展最後に書こうと思っていましたが、ガマンできないので今日言っちゃいます! 

クッキングパパも良いけれど、その愛されキャラを活かして『お笑い陶芸人(陶芸家!?)』を目指してほしいなぁ~なんて思ったりしています(*^▽^*) 


Q.7 ズバリ陶芸の魅力は何ですか? 

A.4 陶芸の魅力、何でしょう・・・ 
好きな形を、割と自由に作れる事だと思います。 
僕は頭の中に空想の世界があって、その世界に在る、王国の食卓をイメージして器を作っています。 

僕の空想が具現化するなんて自由の証です。 
そしてその作った物が実際に使えて、さらにご飯がより楽しみになるんですから僕にとっては最高の仕事です。陶芸大好き! 

菊地:いつも陽平さんの言葉からさプラスの波動を感じます。 
“空想を具現化する”にも共感です! 

誰かの真似事では満足できない、【独自の空想をリアルに興す】この作業がきっと楽しくてならない。 
「ザッツマイジョブ!」 
そんな風に聞こえました。 

本当に素敵なお仕事ですね 
感慨深いです。





菊地遥香さんに聞いた7つの質問

Q.1 漆を扱うお仕事でいらっしゃいますが、手などがかぶれたご経験はありますか?

 
A.1 あります!始めたばかりの頃は特にひどく、なぜか顔半分だけお岩さんのように腫れ上がりました。当時学生だったのですが、バイト先のお客さんに本気で心配された思い出があります 笑

菊地(IVORY):遥香さんの場合、最初は相当大変だったようですね。 
キュートな遥香さんがお岩さんになっちゃったなんて!!!(想像ができません笑)
工房にお邪魔した時とテーブルウェア展でお話させて頂いた時 「お若いのにしっかりしていて折り目正しく、打たれ強そうな女性」という印象を持ちました。


 
Q.2 漆器作りで一番困難に感じる所はどの工程でしょうか?

A.2 未だにどの工程も難しく感じます。 いくつも工程を重ねるのが漆器の特徴ですが、すこしでも「次の工程でリカバリーしよう」と気を抜くと 結局2倍3倍の手間がかかったりして・・・。

菊地(IVORY):漆を塗る シロウトにとっては1つの作業のように感じますが、きっと1回目2回目3回目4回目・・・  

それぞれが違う工程になっているに違いないと遥香さんのお話聞いて感じました。 やはり奥が深い世界ですね~!


菊地遥香7つの質問

Q.3 もし漆芸家になっていなかったら今頃何になっていたでしょうか?
 
A.3 飲食や販売などの人と接する職業でしょうか。時々展示会でお客様と直接お話しできるととても楽しいので。

菊地(IVORY):接客がお好きとのことでハキハキした外交的な遥香さんらしい回答です!!! 
人当たりがよくて気配りが出来る遥香さんにとても向いていると思いました^^



Q.4 この仕事に就いてから一番印象に残った出来事は何ですか?
 
A.4 まだ独立して2年足らずなのであまり色々経験があるわけではないのですが、 大阪で私の品物を見た方が、東京の展示に来て品物をご購入いただいたことが印象に残っています。そこまでの行動を起こしてくれる方がいるなんて!とすごく励みになりました。

菊地(IVORY):わぁ~それは素敵なエピソードですね!! 
うつわがお好きな方は情熱的な方が多いので遠方へ「うつわ旅」される方も少なくないのかなと思ったりしましたが、そう言えば私も秋に信楽へGoToうつわ旅したばかり笑笑 

暖かくなったらまた会津にうつわ旅に出かけたいです 遥香さんの工房へ行かなくっちゃならなくっちゃ^^


Q.5 これまでに制作したことがないモノで、今後作ってみたい作品はありますか?
 
A.5 ありとあらゆるものを!まだ始まったばかりなので。特に玉虫塗が大好きなので、たくさんやっていきたいです。 

菊地(IVORY):いいですね~遥香さんの制作意欲を感じました。 
それに私も玉虫塗Loverなので今後新作がすごく楽しみ♪ 今後新しいモチーフ展開があったりするのかなーと思うとワクワクします。


菊地遥香7つの質問

Q.6 お休みの日の過ごし方または趣味は何でしょうか?

A.6 休みの日、ではなく趣味ですが、最近ランニングと弓道を始めました。 ずっと読書などインドアな趣味でしたが、仕事が座りっぱなしなので、身体を動かそうとしています。

菊地(IVORY):素晴らしい! インドアからアウトドア派に転身だなんて! 分ります分ります!座りっぱなしだと身体固くなりますよね

身体動かすと仕事の効率も上がると聞きました。 私事ですが、母や親戚に弓道をしていた人が多く、 私もやってみたいなぁと思っていた時がありました 一度もできずに今に至るのですが・・・ またお会いした際に色々お話聞かせてくださいね(^_-)

  


Q.7 福島会津の魅力について教えてください

A.7 美味しいものが多い! 市内から少し離れるだけで、自然に沢山触れられるのも魅力です。 猪苗代湖を見てぼーーーーっとするのが好きです。
 
菊地(IVORY):福島に行ったとき何を食べても確かに美味しかった! 露店でおじちゃんが焼いてたアスパラの味も全然違いましたし その晩旅館のゴハンがめちゃくちゃ美味しくて感激でした。

郷土料理「こづゆ」と「めっぱめし」も勿論頂きましたが、 すごいボリュームで完食できなかったことがいまだに後悔です。 福島にはまた行きたい!いや、必ず行きますよ~! 
最低あと2回はね(^_-)


冨樫孝男さんに聞いた7つの質問

Q.1 漆を扱うお仕事でいらっしゃいますが、手などがかぶれたご経験はありますか?  


A.1 漆はカブレるので、なかなか実際の作業現場を見せているところも少ないですし、ワークショップや教室等も、焼き物と比べると圧倒的に少ないです。  
私の家は、代々漆器職人をしております。
子供の頃から仕事場が遊び場でした。 手を漆桶に突っ込んだ事もあります、、、、 でも、全く何ともありません。 
父や祖父はカブレます。代々の免疫なのか私だけカブレないんです。   全国の漆産地には漆の専門学校が必ずあります。 そこに入学してくる生徒達はまず酷くカブレて、「洗練」を受けます。
一度酷くカブレると、次からはカブレはしますが、軽くなるんです。 やはり体に何か免疫がつくのかと思います。   

菊地:冨樫さんのお話はいつも興味深くて聞き込んでしまいます。 なんと!お父様と祖父様はカブレる人だったのに冨樫さんご自身はカブレたご経験がないなんて驚愕でした。 
小さい頃から仕事場が遊び場でした。いつもお父様の背中を見ながら過ごされたのが分りますね。
Q.2 漆器作りで自分にとって一番困難に感じる所はどの工程でしょうか?  
A.2 漆は、洗濯物とは逆で、高温多湿の状態が1番乾きます。 正確には、「乾く」というより「硬化する」という表現かと思います。 
高温多湿であるほど、速く乾き、低温で乾燥してるほど、乾きが遅いです。 
ただ、速ければいいというものでもありません。 速すぎると漆の塗装面に「ヨレ」が生じます。

我々塗師は「漆が縮む」と言います。 逆に遅いと、一向に漆が硬化せず、例え乾いたとしても何となく塗装面がブヨブヨしていたりします。 

これは会津の塗師は「漆がスネる」といいます。 その季節の温度湿度を考え、漆をその都度調合しながら、適した乾き時間で硬化するように調整してます。 

でも、やはり梅雨時と真冬は失敗する可能性は高いです。 春や秋はほとんど何の問題もなく漆が無理なく乾きます。 人間が過ごしやすい気候の時は、漆にとっても、いい季節なんです。   

菊地:なるほど! 漆は湿気が多い場所で乾かすと言うことは以前から聞いておりましたが、何度聞いてもこの理解が難しくて...笑 
だって大気の働きと逆なんですもの! 
それに漆って面白すぎますね、だってスネたりもするみたいだし...^^ 

塗る作業は1回塗布した後に乾かし 乾いたらまた塗る これを何回も何回も繰り返すのですから、本当に辛抱強さが問われる作業です。 

ある意味自分との闘い的な感じがありますよね。 自然を相手にしているのですから。 いつも思うのでうすが、冨樫さんが漆のお話をされるとき、漆への愛情も伝わってきてほっこりします。


Q.3 もし漆芸家になっていなかったら今頃何になっていたでしょうか?   

A.3 子供の頃、親に、地球儀と世界の図鑑と世界のパズルをもらいました。 
毎日毎日、これをいじってました。 図鑑とパズルはボロボロになるまで何度何度も見たりやったりしてました。   
この場所はどんなところなんだろう?とか、ネットも無い時代ですから、想像で世界を旅してる気分でした。 
 高校生になると旅行記に興味が出て、子供の頃に覚えた都市を旅してる旅人の旅行記を読むのに夢中になりました。 海外はどんなところなんだろう!と夢は広がっていたのを覚えてます。   
 自分の今創っているものも、その時の「あこがれ」からきてるものが多いです。 おそらく、漆をやってなければ、海外に関係する仕事をしていたかもしれません。」   

感想:冨樫さんのコメントは毎回感慨深さがありますね。 小さな頃から視野が広くて好奇心旺盛だったのですね!
その頃からハートは世界に向いてたなんて! そういえば漆は世界中の方々からjapanと呼ばれている物、つまりはテーブルウェアの代表格なんですよね!  

とっても誇らしいことですよね~ それに、ボロボロになるまで見ていた図鑑やパズルが今の作風に影響を及してるなんて! やっぱり、スティーブジョブズの名言は本当だって感動しました。



Q.4 この仕事に就いてから一番印象に残った出来事はどんな事ですか?   

A.4 ある方から「G7伊勢志摩サミットの首脳の晩餐会で使う酒器を冨樫君に作って欲しいんだ」というお話を頂いた事。   
漆は分業で、ボディーをつくる木地師、漆を塗る塗師、絵を描く蒔絵師とで制作されます。 ここが、焼き物やガラスと違うところで、1人で全てをやる、、、というのは難しく、作り手の輪が必要になります。 

この伊勢志摩サミットは納期がタイトで、まず作るものの見本を外務省と当時の安倍昭恵夫人に提案しなければいけませんでした。 もちろん分業制の漆業は、外務省に見本出さなきゃいけないから、今すぐ作って、、、などというわがままはまず木地師さんには通用しません、、、   指定された期日まではもちろん見本など出来るはずもなく、 弟子の工房いちかの菊地に、設計図を見せて、これを立体にし、彩色して外務省に送るから書いてくれ、と。 

元々、蒔絵をやっており絵画は得意だった工房いちかの菊地は、細密画で私の平面の設計図を立体に起こし、指示通りに彩色して期限通りに外務省に送る事が出来ました。   

漆をはじめ、焼き物やガラスなど様々な工芸が今回の選定のライバルでした。 私のは、見本ではなく完成イメージ図、、、でしたが、最終選考の2品まで残り、最後に納品日をお聞きして、それなら完成できます!とお答えしました。 それならこれで進めましょう!と。 
木地師さんにある程度アウトラインだけを作ってもらい、 そこから自身で手彫りで面取カットしていく酒器でした。 納品ギリギリだけど、これなら出来る!、、、、と思っていた矢先、いきなりの1週間納期短縮!笑 
ここで、納期までに完成は無理だと悟りました、、、 

制作は短縮によって時間的に不可能なので、結局最終選定2品残っていた別な方に決まってしまいました。   笑い話のような出来事ですが、漆はその制作の特性上、木地師、塗師、蒔絵師など沢山の人の手が入ります。 

なかなかすぐに思ったものを自由自在に作るというのが難しい工芸です。 今回の一緒に展示してる工房いちかの菊地(遥香)とのバタバタしたけど、とても印象に残る連携プレーでした。   

菊地:このお話は工房にお邪魔した際に聞いておりました。 その時も今回も何回聞いても自分のことのように悔しくて悔しくて、涙が出そうになります。 
同時に分業であるが故、完成まで一人で回せないもどかしさと、連携プレーで進める漆業の厳しさを感じました。 
あぁ 木地師さんがもし納期に対応できていたら・・・ 
あぁ 外務省側が納期を急に変更しなかったら・・・ 様々な想いが交差したことと思います。 

一晩で頭を切り替えることができない程の悔しいエピソードに、感銘を受けました。 

でもきっと、もっと凄いことが未来に待っているような気がします。 だって漆業界にイノベーションを起こした作家さんですから! 世界が放っておく訳がないです。 
って何の根拠もない無責任発言をお許しくださいませ~ 悔しいけれど、なかなか経験できない印象的なエピソードでしたね。 お話下さって有り難うございました!


Q.5 これまでに制作したことが無いもので今後作ってみたいものはありますか?   

A.5 漆、色々は素材に『擬態』できるという面白さがあります。   陶器のように、ガラスのように、金属のように、鋳物のように。 持ってみないと、触らないと本当に分からない場合があります。 
これは『変わり塗り』という技法で、江戸時代より騙し塗りとして遊び心で行われてきました。 100種類の騙し塗りを記述した文献もあるくらいです。 

赤黒金銀という漆のイメージですが、まだまだテクスチャーなど試してみたい事が沢山あります。 天然木を使い、自然の漆を使い、先人の残してくれた工法をつかえば、自分のイメージしてる創りたい物が叶えられる気がします。 

まだまだ使ってない技法は沢山あります。 具体的にこれ!というのはありせんが、自分のイメージしてる品を皆さんが驚く技法で制作したいなと思っております。」   

菊地:この回答を聞いて冨樫さん、漆マジシャンだって思いました笑 

栗やチョコレートのようにミニチュアの作品もそうですが いつもビックリするような作品を作られているんですもの! まだ使っていない技法があるとのことですから サプライズは無限大ですね! 
今後のどんなモノで私達を驚かせてくださるのか凄く楽しみですね^^



Q.6 お休みの日の過ごし方、または趣味は何でしょうか?   

A.6 ロードバイクです。 正確には、自転車の両サイドに荷物をつけて自転車旅行やキャンプなどの装備で走るランドナーという自転車で、競技用ではありません。 
会津は内陸の盆地ですので山々に囲まれてます。 春はもっぱら、自転車で山々を走り山菜採りをして、自転車に積んでツーリングがてら走っております。 
蕗の薹、ワラビ、ウド、フキなど、自転車のスピードだから見つけやすいです。 競技車ではないので、のんびり山々を走り、綺麗な木々や川の景色を楽しんでおります。 
ただ、会津地方の山々には熊やマムシが沢山出るので(今年は熊三頭目撃しました) それの点は怖いですが、、、、   

菊地:自転車はママチャリしか乗ったことがないので(笑) ランドナーというものがどんな感じなのか想像の範囲でなのですが きっと山道とかもスイスイ走れるタイプの自転車なのかな~と。   
流石冨樫さん!有意義な趣味をお待ちですね。 自然と触れあいながら息抜きもできるでしょうし、 何かクリエイティブなインスピレーションも降りてくる事もあると思います。 
 ただ、熊とマムシはノーサンキューです(^_^; ツーリング中はくれぐれもお気を付けくださいね!

冨樫孝男七つの質問


Q.7 福島会津の魅力について教えてください  

A.7 会津は、横に長い福島県の中で、日本海側の気候風土になります。 福島県でも、会津以外は太平洋側関東のような気候です。 
日本海側の気候で新潟に隣接しておりますので、豪雪地帯です。 会津藩の時代から城下町で栄えておりましたので、漆器、蝋燭、日本酒、などなど沢山の地場産業があります。 特にお米、日本酒、お蕎麦などは美味しく、会津独特の郷土料理も沢山あります。 

郷土料理「こづゆ」には、それ専用の漆器「手塩皿」というのに盛り付けるのが決まりになってます。 新撰組や白虎隊、千円札の野口英世などでも有名です。 会

津には「会津の三泣き」という言葉があります。 会津に来た人が、会津人のぶっきら棒な態度で1度泣き、 知れば知るほど人情が厚い事に感激して2度目泣き、 最後に会津を離れる時に離れ難くて3度目泣く、、、 

初めはとっつきにくいかもしれませんが、東北特有の素朴な温かさがあるところで、とても郷土愛が強い土地柄です。 

菊地:楽しいお話をシェアしてくださって、ありがとうございました。 「会津三度泣き」のくだりは面白いですねー! 
私から見た会津の方々は...全然ぶっきらぼうな感じではなかったです。 どこに行っても親切な方ばかりでした。 皆さんちょっとだけシャイな印象があったかもしれません


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